TV ビッグバトル ザ・ラストレッドショルダー 野望のルーツ 赫奕たる異端
◆第1話「回帰」

 アストラギウス暦7247年、キリコとフィアナがコールドスリープについてから32年が経過していた。ギルガメスとバララントの第四次銀河大戦も開戦から32年を迎え、いつ果てるとも知れない闘いを続けている。だが、戦場にも変化はあった。コールドスリープカプセルの普及と、その蘇生技術の向上である。
 一方、戦争の絶えないアストラギウス銀河において普遍的なものの一つに、マーティアルという汎銀河結社があった。人が神に至る道こそが、闘争であると説く結社である。そのマーティアルの第9セクター支部が存在する惑星マナウラの衛星軌道上に、コンプラントと呼ばれる宇宙工場群が定位している。そこにキリコとフィアナのコールドカプセルが回収され、蘇生が施されていた。


 “触れ得ざる者”キリコ覚醒の報が、マーティアル第9セクターにもたらされる。折しもそれは、支部の指導者モンテウェルズ枢機卿の娘、テイタニアが第13階位「秩序の楯」に叙させられる認証式の最中であった。聖地アレギウムから派遣された特使ノスコヴィッツは聖地アレギウムからの指令を伝える。キリコを信仰に導くか、抹殺せよ、と。モンテウェルズはキリコへの対処を、テイタニアに一任する。
 一方、コンプラントでは完全に覚醒しきっていないキリコの前から、フィアナがいずこかへと連れ去られていた。フィアナを取り戻さんとするキリコの前に現れたテイタニアは同行を求めるが、キリコはこれを拒否する。テイタニアは、ATに代わる戦場の主役と目される類人兵器ネクスタントであった。その圧倒的な戦闘力で迫るテイタニアに対し、キリコは32年振りにATのコクピットに搭乗するのであった。




◆第2話「アレギウム」

 コンプラントに赴いたテイタニアと、キリコの死闘が始まった。キリコはテイタニアにかまわずにフィアナを追うのだが、そのカプセルは輸送業者の手によってコンプラントから運び去られてしまう。そして、キリコとテイタニアの激しい戦闘によって動力部に損傷を受けたコンプラントは、地表に向けて落下を始めてしまう。戦闘兵器であるテイタニアに、自分やフィアナと同じ匂いを感じたキリコは、彼女の身体を脱出カプセルに押し込めて射出した。そして、キリコ自身が脱出する間もなく、コンプラントは地上に落着する。


 コンプラント落着はマナウラの地表に大きな被害をもたらすが、キリコの生存は確認されていない。そのため、これをテイタニアの功績として、モンテウェルズは聖地アレギウムに乗り込んだ。時あたかも次期法皇を選出する法皇指名に先立つ、長老会議の開催中であり、モンテウェルズは次期法皇候補の一人であったのだ。モンテウェルズは“触れ得ざる者”キリコを倒したことを報告し、ネクスタントがマーティアルの教義を体現する存在であることを誇示する。
 その頃、瀕死の重傷を追ったキリコはマナウラ政府軍のゴディバ軍医長の手によって、奇跡的な回復を遂げていた。そして、フィアナを求めて再び歩きだすのであった。




◆第3話「巡礼」

 聖地アレギウムの根本聖堂で行われている長老会議は紛糾していた。次期法皇の座を巡り、モンテウェルズの功罪が激しく沙汰される。ネクスタントは所詮PSと同じであり、モンテウェルズはかつてPS開発に関って破門された者たちと同類なのだという声が挙がる。だが、ネクスタントは信仰心を持った人間であり、PSとは根本的に異なるものだとモンテウェルズは主張する。


 そんな会議に嫌気のさしたテイタニアは一人議事堂を抜けだし、聖堂を彷徨ううちに一人の老人と出会う。彼こそ、かつてキリコを追い続け、今もその記録を編纂しているロッチナその人であった。キリコの死亡を確信しているのかと問うロッチナ。そして心の奥底に淀んでいた本心をずばりと言い当てられたテイタニアには、ロッチナに返す言葉がなかった。
 その頃、キリコはゴディバとともにマナウラ宇宙港へと向かっていた。しかし、空港のコールドカプセル保管場からは、既にフィアナのカプセルは運び出されていた。その目的地は惑星ジアゴノ、聖地アレギウムである。キリコはゴディバとともに巡礼者の中に紛れ込み、アレギウムに向かった。




◆第4話「臨界」

 次期法皇の座に関して、法皇に示唆を与える長老会議も大詰めを迎えていた。会議の大勢はグノー枢機卿へと傾きつつあったが、モンテウェルズのもとに一人の使いが駆け寄った。使いの者は、フィアナのコールドカプセルがここアレギウムに運び込まれたことを告げる。モンテウェルズは主張する。それはキリコ蘇生が何者かに仕組まれたことであり、自分を陥れようとした者の罠である、と。名指しでグノーを指弾することによって、モンテウェルズは一気に優勢となる。だが、これはモンテウェルズ自身が仕組んだ謀略であった。


 一方、巡礼者たちにまぎれ込んで惑星ジアゴノへ到達したキリコとゴディバは、フィアナを奪回するべく行動を起こしていた。だが、キリコはゴディバに対して、フィアナの再凍結を依頼する。
 モンテウェルズの謀略を目の当たりにしたテイタニアは、キリコとの避けられない闘いを前に、フィアナのもとヘ向かう。そして、フィアナの蘇生を命じた。キリコにとっての負い目をなくそうと考えたのだ。だが、目覚めたフィアナは、テイタニアに対して思いも寄らぬ願いを托す。キリコを愛して欲しい、と。


 その頃、キリコは根本聖堂に向かって動き始めていた。それを報を受けた長老会議は「秩序の楯」たるテイタニアの出撃を求める。だが、モンテウェルズは自分にそれは出来ないと告げる。正式に叙任を受けた者に命令できるのは法皇のみ。ここに至り、法皇テオ8世は次期法皇をモンテウェルズとすることを宣言、モンテウェルズはただちにテイタニアに出撃を命じた。


 やがて、モンテウェルズの謀略を知ったグノー枢機卿の一味が詰め寄るが、逆に新法皇となったモンテウェルズ自身の手によって射殺されてしまう。その一部始終を見ていたテイタニアは、かつて自身もまた父の手によって重傷を負わされ、父の権力欲の犠牲としてネクスタントになったことを悟る。だが、キリコ蘇生だけはモンテウェルズの陰謀の結果ではなかった。いや、モンテウェルズが指示する直前に、キリコは偶然によって目覚めていたのである。その恐るべきタイミングには、何者かの意志が介在していたのであろうか?
 衝撃的な事実に、動揺するテイタニア。彼女はそれでも戦士としての誇りだけを胸に、キリコ迎撃に向かうのであった。




◆第5話「触れ得ざる者」

 「触れ得ざる者」キリコ・キュービィは、マーティアルの聖地であるアレギウムの根本聖堂へと侵入した。それを迎え撃つ「秩序の楯」たるテイタニア。
 しかし、キリコはテイタニアとの闘いを放棄してフィアナのもとへと急ぐ。そんなキリコを執拗に追いかけるテイタニア。モンテウェルズは補助脳を使おうとしないテイタニアに、苛立ちを覚えていた。「触れ得ざる者」キリコの問題は、ギルガメスとバララントが注視する中、アレギウムが独力で解決しなければならない。そのためのネクスタントでもある。


 ついにモンテウェルズは、強制的な補助脳の起動を命じる。補助脳に支配されたテイタニアの能力は圧倒的であった。次第に追いつめられていくキリコ。だが、ATから放り出されて朦朧とする意識の中、キリコが放ったたった一発の銃弾が、テイタニアの補助脳を撃ち抜いた。その奇跡を目の当たりにした者は、キリコの絶対的な存在を認めざるをえなかった。


 重傷を負いながらも、フィアナのもとへ急ぐキリコ。もはやその行く手を遮る者はいない。しかし辿りついた先にキリコが見たものは、再凍結された姿ではなく、最後の力を振り絞って彼を迎えるフィアナの姿であった。PSとして寿命がわずか二年しかないフィアナがそれ以上生きるためには、冷凍状態であり続けなければならない、そのために、かつてキリコとフィアナは冷凍睡眠という半ば自殺的な行為を選んだのだ。だが、冷凍睡眠から覚めてしまった今、フィアナの運命は決定的なものとなっていた。そして、重傷のキリコの腕の中で、フィアナの身体は崩れ落ちていく。
 アレギウムでの戦いの後、マーティアルの使者を拒絶し、何処へともなく去っていくキリコ。そしてその後を追うテイタニア。二人の旅が始まった。